2019.05.16
あきたのCG屋の社長さんのハナシ 日常の中にはCGがあふれている編
その2:日常の中にはCGがあふれている
みなさんは、CGと聞いて、どんなものを想像しますか? 実際には存在しない巨人や妖怪などのクリーチャー、映像の特殊効果、映画の宇宙船や、小惑星探査船ハヤブサのシミュレーション映像……等々。
以前はメタリックなアンドロイドや空中に浮かぶ物体など“いかにもCG”という感じの表現が多く見られたのですが、現在は実写なのかCGなのかわからない映像や表現が主流になっています。
なかでも映像や画像の加工ということで考えれば、CGの入っていない映像・画像の表現はほぼ無いと言ってもいいぐらいだと思います。今では、気がつかないうちにあらゆる映像・画像にCGの技術が生かされるようになっています。
たとえば、医療。あとは……表示物は全てCGになっていくでしょう。今でもサイネージ系はすべてCGになってきています。
医療に関しての話に戻ると、シミュレーターの映像などもそうなのですが、デジタル画像は厳密には全てCGなので、既に色々なものがCGになっているのです。電子カルテもそうですし、レントゲンじゃないのですが、体の内部を立体で表示して、患者さんに「ここが悪いですよ」とぐるぐる回しながら説明することができる技術があります。そして患者さんが、患部がどのようになっているかを認識したうえで手術を受けるようになって来ていたりします。
それも患者さんの体をスキャンしたものを見せるので、患者さんの体や患部のそのままの状態を見ることができる。結果、患者さんの手術内容への理解が格段に良くなってきていると聞いています。理解を助け安心を与えるための立体モデルとしてCGが役立っている例です。
これができるようになったのは、グラフィックカードの性能が良くなったのと表現力がついてきたのが大きいです。ここでいう表現力というのは単なる描写力だけの話ではなく、撮影したものをそのまま立体にできて、ほぼリアルタイムで見せられるという、技術革新の部分も大きいウェイトを占めています。
何でもできるようになったCGですが、相変わらず表現するのが苦手なものもあります。意外かもしれませんが、人体をイチから作って表現するのが難しいのです。それは人体の内部の複雑さに起因しています、人の形や動きを正確に表現するためには、内部の骨や筋肉を細かな部分までそのまま表現しなくてはいけない。加えて、それらのパーツが動きに伴って変化していく。それを手作業で緻密にやっていたら、いくら時間があっても足りません。そこで、何となくそれっぽく見せる技術というのがこれまで発展してきたのです。その技術の発展とコンピュータの発展とが相まって、人体表現の“不気味の谷”を越えることができるようになってきました。
現在、映画などでリアルな人物をCGで作成するときは360度撮影して、そのデータから作成することがあります。撮影を元にすると、皮膚がどのぐらいまで光を通すとか、そういったところまで記録することができます。それを人間の手でイチから作ると、果てしない作業になってしまうのです。